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家紋の話あれこれ2013年
36、2020年東京オリンピック決定!
ブエノスアイレスで行われた、IOC(国際オリンピック協会)総会において、正式に2020年オリンピックの開催地が、東京に決定しました。
2016年の開催誘致の際は、私自身、正直そんなに盛り上がらなかったのですが、なぜか今回は結構ドキドキしながら、IOC総会の実況中継を見ていました。(早起きしました。)
最終プレゼン、どなたも素晴らしかったと思います。
2020年、海外から来たお客様たちが、「日本に来てよかった、日本っていい国だな」と思ってくれるように、いろいろ頑張っていきたいですね。
35、富士山世界文化遺産登録
富士山が世界文化遺産に登録されました。
弊社はまさに富士山の御膝元、静岡県富士市にあります。
世界遺産登録が決まってから、様々なテレビ番組で、富士山周辺のグルメや見どころが取り上げられています。
自分が何したわけでもないのですが、なんだか妙に誇らしい気持ちになったりしています。
というわけで、今回は富士山の家紋について書かせていただきます。
「えっ!富士山の家紋っ? 」と思われるでしょうが、あるのですよこれが・・・。
左は「青木富士の山」と呼ばれる家紋です。 「青木氏」が多く使用していることから、この名があります。 富士山は、古くから「霊峰」と言われ、御神体として祀られてきました。 また「富士」は「不死」に通じ、「不老不死」の象徴として瑞祥紋としての意味もあったのではないかと思われます。 |
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青木富士の山 |
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富士山の標高は3776mであることは皆さんもご存じでしょうが、その山体は駿河湾の海岸にまで及んでいます。 駿河湾は海岸からわずか2kmで500mの深さとなり、最深部は2500mに達する日本で最も深い海です。 その標高差は実に6200m以上と考えると、世界的にも壮大と言える地形です。 |
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丸に富士山に帆掛け舟 |
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「富士山信仰」には様々な形がありますが、富士山の神霊と考えられる「浅間大神」「木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)」を祀るのが浅間神社で、富士宮に本宮があります。 富士山頂にある神社は、この「浅間神社」の「奥宮」です。 ちなみに、富士山8合目より上の登山道と測候所を除いた部分は、浅間大社の「境内」となっており、日本最高地点の「富士山剣が峰」の地主も「富士山本宮浅間大社」です。 |
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変わり富士霞 |
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富士山以外のにも、「山」をモチーフにした家紋は数種類あります。 富士山のように、山頂部に火口をもつ成層火山は、鳥海山や桜島など国内にもいくつかありますが、少数派です。 富士山以外の山紋は、山頂部が丸くなっています。 富士山に霞を組み合わせたものが多いのは、山の高さをするためと、構図の美しさからでしょう。 |
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山に霞 |
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富士山は「霊峰」としての瑞祥的な意味から、家紋として使われたのに対し、他の「山紋」が使われた理由は、尚武的意味かと思われます。 武田信玄の旗指物に描かれた「風林火山」で有名な、孫子の兵法である、「動かざること山の如し」で象徴される、どっしりとした不動心を表したのでしょう。 |
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三つ遠山 |
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「山紋」には、山そのものを図案化した「山紋」の他に、山の形を折れた直線で、幾何図形化した「山形紋」、漢字の「山の字」を図案化した「山文字紋」、山道を図案化した「山道紋」があります。 |
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五つ山 |
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実際多く使用されているのは、「山形紋」と「山文字紋」です。 「山形紋」は、単独で使用されることより、他の家紋と組み合わせて使用されることの方が多いと言えます。 また、着物の柄等に使用されることが多いことから考えて、もともと文様として発達したものが、家紋に転用されたと考えた方が自然のようです。 |
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三つ入山 |
「山形紋」はまさしくシンプルな形状ですが、巧みに組み合わせることにより、美しいバリエーションがあります。
山形 |
違い山形 |
入り山形 |
出山形 |
六角山形 |
四つ山形菱 |
頭合わせ三つ山形 |
山形に木瓜 |
入山形に三つ星 |
醤油や味噌のメーカーには、「山(ヤマ)」がつく名称が多く、屋号に多く使用されたため、現在でも、多くの会社がトレードマークとして使用しています。
直線と、スパッと切り落としたような形状から、力強い感じの「山形紋」ですが、曲線にして折り目を増やした、「花山形」というものもあります。
花山形 |
違い花山形 |
花山形桐 |
わずかな変化ですが、ずいぶんやさしい雰囲気になりますね。
文字を紋とした「字紋」の中でも、「山文字紋」はバリエーションが豊かです。
丸に山の字 |
剣山の字 |
山の字丸 |
山の字菱 |
三階山の字 |
頭合わせ光琳三つ山の字 |
「山道紋」は多くは使用されていない珍しい紋といえます。
「山道紋」は旗印に使用されていたものが、家紋に転じたものです。 もとは縦長の旗に、上から下へ折線模様を描き、旗印としたのでしょう。 |
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細輪に山道 |
「山紋」の使用家には、「山」の字を含む名字が多い傾向にあります。
名にちなんだ家紋と言えるでしょう。
先日、富士市内の私鉄、岳南電車の「ジャズトレイン」に乗りました。 車内にテーブルと生バンドとビールサーバーを用意して、ジャズの生演奏と生ビールが楽しめる電車です。 夕方、始発駅の岳南吉原駅から終点岳南江尾駅の間を1時間で往復し、ビールは飲み放題、おつまみは持ち込み自由という、ビール好き電車好きには、たまらない企画です。 |
素敵なジャズの演奏と美味しい生ビール、富士山は雲に隠れて見えませんでしたが、車窓に広がるのどかな風景で、楽しい時間を過ごすことができました。
岳南電車のホームページ http://www.fujikyu.co.jp/gakunan/home.html
富士山の世界文化遺産登録が決定してから、富士山のかっこいい写真を撮ってやろうと待ち構えているのですが、いつまで待っても姿を見せてくれません。
富士市では、せっかく富士市に来てくれた人が、雲で富士山を見ることができなかった場合、「べっぴん証明書」「男前証明書」を発行してくれます。
べっぴん証明書には「「今日は、日本一の美女である富士山があなたの姿に嫉妬し、その姿を隠してしまいました。ここにあなたがべっぴんであることを証明します」
男前証明書には「今日は、日本一の美女である富士山が恥ずかしがり、その姿を隠してしまいました。ここにあなたが男前であることを証明します」と書かれているそうです。
JR東海道新幹線新富士駅の観光案内所で、その日のスタンプを押して、無料で発行してくれます。
どのようなシチュエーションで使うのか、なかなか思い浮かびませんが・・・。
34,梅紋
我が家の梅が、満開です。 前回、「八重の桜」に関連して「桜紋」について書かせていただきました。 今回は春を感じさせるもうひとつの花、梅紋について書きたいと思います。 順番逆だよね…という突っ込みは聞こえないことにします。 |
前回少し触れましたが、奈良時代に編纂された「万葉集」では、「桜」より「梅」の方が多く登場します。
これが「平安時代」に編纂された「古今和歌集」では逆転するのですが、家紋の世界では現在、「梅紋」の方が、圧倒的に多く使用されています。
普段からよく使用する紋帳で調べたところ、4冊の平均記載数が、梅紋が91,7種類、桜紋が64,5種類でした。
桜の花の、あっという間に散ってしまう様子が、家紋として人気が出にくかったのが理由ではないかと推察されるのですが、逆に「梅紋」が家紋として多く使用されるになったのは、どうしてでしょうか?
文様として美しかったことが大きな要因であることは、間違いないでしょう。 梅紋が、家紋として使用されるようになった時期は、はっきりとしないようです。 もともとは、文様として多く使用されており、菅原道真公が歌に詠んで愛したといわれ、また、道真公が信仰した天満宮の神紋が梅の花であったことが、家紋として使用された理由のようです。 |
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梅の花 |
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家紋として、数多くの種類が紋帳に記載されている「梅紋」ですが、実際に使用されているのは、そのほとんどが「梅鉢」です。 花弁を丸に、花芯を五角形にアレンジすると、そこに太鼓のバチと剣が現れます。 「梅の花」より力強くなり、武家に好まれたのでしょう。 また、菅原道真公ゆかりの家紋ということも、武家にとって魅力だったのかもしれません。 |
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梅鉢 |
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「梅鉢」の剣を強調したものが、「剣梅鉢」です。 武家が強さを強調した家紋を好んだのと対照的に、江戸時代に使用されるようなった「女紋」では、武骨さを嫌い、優美さが強調されていきます。 「女紋」として使用する場合、「剣梅鉢」であっても「剣」をはずして「梅鉢」や「梅の花」にしたり、もっと凝って「陰梅鉢」「のぞき梅」といったものに変えて使用されました。 |
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剣梅鉢 |
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「女紋」は、その家の定紋とは別に、女性が使用する紋です。 嫁ぐ際に、実家の家紋入りのお道具を持っていく、というパターンが多いのですが、「女紋」の選択基準は地方によって、いろいろあるようです。 |
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糸輪にのぞき八重向こう梅 |
使用されている「梅紋」の多くは、「梅鉢」ですが、そのほかに「梅の花」「向こう梅」「香ひ梅」「横見梅」など、様々なバリエーションがあります。
八重梅の花 |
尻合せ三つ寄せ梅の花 |
雁梅 |
白銀梅 |
光琳梅鉢 |
向こう梅 |
中陰八重向こう梅 |
三つ割向こう梅 |
捻じ匂梅 |
香い梅 |
三つ盛り香い梅 |
割り梅菱 |
横見梅 |
五つ横見裏梅 |
箙梅 |
梅桐 |
枝梅 |
梅枝丸 |
星梅鉢 |
台梅鉢 |
実梅鉢 |
加賀梅鉢 |
棒剣加賀梅鉢 |
花剣加賀梅鉢 |
豊後梅鉢 |
花梅鉢 |
五つ梅 |
「梅」という素材を、華やかにアレンジしたり、力強くみせたり、先人たちのセンスには脱帽です。
ところで、NHK大河ドラマ「八重の桜」、、「山本覚馬」役の「西島秀俊」さんの肉体美が話題になり、入浴シーンなんかが増えていくんじゃないか、といわれています。
驚いたのは、我が家だけじゃなかったようです。
33,NHK大河ドラマ「八重の桜」
新年明けましておめでとうございます。
2013年のNHK大河ドラマは「八重の桜」。
NHK大河ドラマ「八重の桜」ホームページhttp://www9.nhk.or.jp/yaenosakura/
「平 清盛」の平安時代から一気に近代のお話となりました。
「八重の桜」の主人公、「山本八重」を演じるのは「綾瀬はるか」さん。 ふわっとした雰囲気が魅力の女優さんですね。 「悪妻」「会津の頑固女」「ハンサムウーマン」などと呼ばれる、「山本八重」さんをどう演じてくれるのか、楽しみです。 左の家紋は「八重桜」。実に優美でシンプル。とても美しい家紋です。 |
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八重桜 |
山本八重の実家は、会津藩 砲術師範を務める家で、家紋は「丸に隅立て四つ目」です。
・・・実はこの山本家の家紋、私自身で調べようとしたのですがよくわからず・・・。
NHKのホームページのプレビュー画像など見ても分からず、困って、大河ドラマが始まってから、何とか山本家の家紋が出てこないかと眼を凝らしていたら、あっさり八重のお兄さん「山本覚馬」が紋付きで登場し・・・そんなことをしていたので、新年のご挨拶がまさかの下旬となってしましました。
会津藩の武鑑があればわかるのですが、手元にあるわけもなく・・・。
ご先祖様に戦国武将「山本勘助」がいると聞いて、それなら「左三つ巴」かなぁ・・などと考えていたのですが・・・。NHKですから、ちゃんとした資料がやはりあったんだろうなぁと・・・反省です。
とりあえず「様々な家紋」に、「八重の桜」登場人物の家紋をアップしました。 そこで今回は「桜紋」のお話。 なんたって「八重の桜」ですから。 |
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桜 |
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私は、桜は「日本の国花」だと思っていたのですが、日本の国花というものは、法的に制定されてはいないそうです。 しかし、実際には、桜は国花のように扱われており、警察官や自衛官の階級章、また100円硬貨の裏にも、桜の花がデザインされています。 「桜紋」には大きく分けて、「桜」と「山桜」があり、どちらも多くの家紋がありますが、上記の階級章などに使用されているのは、「山桜」が多いようです。 |
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山桜 |
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「八重の桜」ホームページのトップで、八重の着ている羽織にデザインされているのも、「向う山桜」です。 桜はバラ科の落葉性広葉樹で、北半球温帯に広く分布しています。 日本では、「開花予想」だの「お花見」だの、桜の花が話題になりますが、外国では、「果樹」として扱われることのほうが、多いようです。 確かに私も、「サクランボ」は大好きですが、国産は高いので、もっぱら「アメリカンチェリー」を買ってしまいます。 |
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向う山桜 |
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日本でも、中国文化が色濃かった奈良時代に編纂された「万葉集」に登場する花は、「梅」が多かったのに対し、国風文化が育ってきた平安時代に編纂された「古今和歌集」では、「花」といえば、「桜」を指すようになります。 文様としての「桜」は、古くから使用されていました。 平安時代に書かれた「栄華物語」の絵巻や屏風に登場しています。 家紋としても、古くから使用されていたと考えられますが、その数はあまり多くはなかったようです。 |
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抱き桜 |
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桜の花は、咲いてわずか数日で散ってしまいます。 戦国時代に入り、命がけの戦いが求められる武家にとって、この「散っていく」儚さ(はかなさ)は、家紋として受け入れられなかったのでしょう。 |
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変り散り桜 |
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ところが、江戸時代に入ると俄かに「桜紋」の人気が上がっていきます。 皮肉なことに、戦乱の世では厭われた「はかなさ」が、平和な時代の武士にとっては、「死をいとわない武士の潔さ」とされたことからです。 とはいえ、やはり「桜紋」の使用家は、さほど多くありません。 しかし、「紋帳」にはかなりの数の「桜紋」が記載されています。 |
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八重大和桜 |
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これは、家紋の素材として、桜がいかに魅力的だったか、ということなのだと思います。 「桜紋」の基本は、先端が丸いか、もしくは尖った五枚の花弁で構成されています。 このシンプルな構図の中に、意匠を凝らし、様々な家紋を作り上げたセンスには、驚かされます。 家紋に使用される、他の素材と同様、複数にして組み合わせたり、裏にしたり陰にしたり、他のものに見立てたり、家紋のデザイン技術が駆使されていますね。 |
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九曜桜 |
剣桜 | 左近桜 | 細川桜 |
陰桜 | 裏桜 | 光琳太陰桜 |
葉敷き山桜 | 桜井桜 | 雀口桜 |
葉付き三つ桜の丸 | 浮線綾山桜 | 月落桜 |
雪月花 | 桜枝丸其の二 | 小山桜 |
やはり、華やかな印象の家紋が多いようですね。
先日放送された「八重の桜」第三話で、「山本覚馬」役の「西島秀俊」さんが、槍の試合の際、ガバッと上半身裸になった時、そのマッチョな肉体に我が家では一斉に、「オウっ!」と声が上がりました。
ソフトな印象を受ける役者さんでしたから、びっくりしました。
やはり鍛えられた肉体も、役作りの一つなのでしょうね。
最近、昔のスーツのズボンのボタン、閉められません・・・・・・。
今日から毎日、腹筋します。
参考文献 泡坂妻夫著「家紋の話〜上絵師が語る紋章の美」新潮社、丸山浩一著「家紋由来帳」日栄出版、本田總一郎監修「新集家紋大全」梧桐書院、千鹿野茂著「日本家紋総鑑」角川書店、丹羽基二著「家紋と家系事典」講談社、加藤秀幸解説「別冊歴史読本 日本の家紋6000」新人物往来社、大隈三好著「家紋辞典」金園社、澤等監修「イラスト図解 家紋」日東書院 他(順不同、敬称略)
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