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家紋の話あれこれ2015年


このページでは、家紋についての話をあれこれ書いていきたいと考えています。


お客様からよくあるお問い合わせに関することや、家紋を使う際の基礎的な知識、珍しい家紋のご紹介などを、少しずつ書き加えていきたいと思います。


※新しい記事が、一番上に来るようになっています。



44,「刀剣乱舞」A

弊社から1時間強ほどのところにある、富士山五合目富士宮口へ至る富士山スカイラインは、冬季は積雪と凍結の為、通行禁止となります。

その直前に五合目まで登ったところ、雲海に西日が差して、とてもきれいでした。


さて前々回、「刀剣乱舞」というゲームに使用されている紋について、少し書かせていただいたところ、興味を持って下さった方が多かったようです。


日本独自の家紋という文化が、少しでも多くの方に身近に感じていただけるなら、微力な私ですが、頑張らせていただきたいっ!と思いましての続編です。

「刀剣乱舞」公式ホームページhttp://www.dmm.com/netgame/feature/tohken.html
「刀剣乱舞」カード一覧http://wikiwiki.jp/toulove/?%A5%AB%A1%BC%A5%C9%B0%EC%CD%F7
「刀剣乱舞」紋一覧http://wikiwiki.jp/toulove/?%A5%AB%A1%BC%A5%C9%B0%EC%CD%F74

例によりまして、刀に関する知識に乏しい私です。

家紋に関しては、それなりの資料で調べたものですが、それぞれの刀に関する記述は、ネットで、パパッと調べて、ササッと書いたものです。

間違いがある前提で、読んでください。

11番「今剣(いまのつるぎ)」

源義経の守り刀で、自刃する際に使用したとされる短刀です。
竜胆紋が使われているのは、拵(こしらえ)に、竹輪違いが描かれていたということからでしょうか?

義経といえば「牛若丸」、京の五条大橋で武蔵坊弁慶と戦い、家来にしてしまうという逸話が有名です。

竜胆の下に描かれているのは、五条大橋の欄干かもしれませんね。


笹竜胆

19番「にっかり青江(にっかりあおえ)」

名前の由来は、「にっかり笑う女の幽霊を切り捨てたところ、翌朝調べると、石塔が真っ二つになっていた。」というものです。

石塔は家紋の素材として、紋帳にも記載がありません。
以前描いた記憶があって、調べてみると藤に組み合わせた家紋がありました。
藤に「五重塔」が組み合わされた家紋は、他にも見受けられるので、この家紋の場合、「五重塔」が「石塔」に変化したものかもしれません。

変り下り藤に石塔
しかし、「にっかり笑う女の幽霊」って、なんかスゴイです。
31番「平野籐四郎」   39番「前田籐四郎」

この二つはいずれも、「枝藤」をモチーフにしているようです。

藤紋では、中央の葉の先端は上を向くのが一般的ですが、「枝藤」では下向きなのが特徴といえます。

「枝藤」は、紋帳にも記載されてる家紋ですが、実際の使用家は多くはありません。
枝藤

43番「博多籐四郎」

「青海波」の後ろに、「三階菱」が堂々と立っています。

「青海波」はもともと、ペルシャ・ササン朝様式の文様が、中国を経由して伝わったものです。
文様から転用されていった家紋は多くありますが、「青海波」は単独で使用されることは稀です。

「三階菱」は、この刀の所有者である「小笠原家」の家紋です。
丸に青海波

55番「鶯丸(うぐいすまる)」

その名のとおり、鶯の翼の間に梅の花が描かれています。

「梅に鶯」というのは、春の訪れを表す定句で、花札などにも組み合わて描かれます。

家紋で鶯が単独で描かれたものは見られませんが、梅との組み合わせは極稀にあります。
中輪に枝梅に鶯

67番「物吉貞宗(ものよしさだむね)」

一見、片喰(かたばみ)紋がモチーフかな、と思いましたが、「徳川家康」の愛刀であったとの事から、「徳川葵」をモチーフにしたと考えた方がいいようです。

この刀の「目貫」は「後藤祐乗」の作で、龍が瞬きをしているように見えることから、家康が、「瞬きの竜」と名付けたそうです。
徳川葵

79番「江雪左文字(こうせつさもんじ)」

北条家の家臣、板部岡江雪斎(いたべおかこうせつさい)の愛刀です。

「左文字三兄弟」に共通で描かれている、「三日月に雲」は、銘として刻まれている、「左」の文字をデザイン化したものだと思われます。

背景に使用されているのは、北条家が使用した「三つ鱗(みつうろこ)」。
鱗(うろこ)紋は、魚の鱗をデザイン化したものではなく、幾何学模様である三角形に、後付けで名前を当てたものです。
三つ鱗
その為、「鱗紋」の鱗とは、「龍の鱗」を示しています。
93番「陸奥守吉行(むつのかみよしゆき)」

坂本龍馬の愛刀です。

錨(いかり)紋をモチーフにしたのは、海軍操練所の発足に奔走し、後に海援隊を設立した、坂本龍馬へのリスペクトでしょうか?

錨紋には、「和船」に使用された錨の紋が多いのですが、「汽船錨」のように洋式の錨の家紋は、少なく、比較的新しい家紋です。
汽船錨

97番「山伏国広」

前々回の「山姥切国広」の際に、「山つながり」で片づけてしまい、申し訳ありませんでした。

作者である「堀川国広」は、刀工を続けながら、山伏修行をしていた人物でした。
山伏と言えば、法螺貝を吹く姿が思い浮かびます。

「法螺(ほら)紋」は、一般的ではありませんが、古くから使用されている家紋の一つです。
緒付き法螺

103番「浦島虎徹」

刀身に浦島太郎の像が掘られていることから、その名があると言われます。

刀に「浦島太郎」の図柄とはミスマッチな気がしますが、刀装具にはよく見られるそうです。

「丸に亀甲」を横にしたデザインですが、これはやはり、「浦島太郎」→「助けた亀に連れられて・・・」→「亀甲」という流れでしょう。

「亀甲」は、他の家紋の外郭に使われることが多いです。
丸に亀甲

128番「同田貫正国」

「同田貫」と言うと、私の世代では「子連れ狼」の主人公「拝一刀(おがみいっとう)」の刀を、真っ先に思い浮かべてしまいますが、あちらは「胴太貫」、あくまでも想像上の刀だそうです。

紋は「丸に四つ割石」かな、と思ったのですが、どうもつながりがが見えない。
もっとシンプルに「田の字」をデザイン化したと考えた方良さそうです。
丸に四つ割石

136番「日本号」

昨年の大河ドラマ「軍師官兵衛」で、「速水もこみち」さんが演じた「母里太兵衛(友信)」の逸話「黒田節」に登場する槍です。

使者として「福島正則」のもとにいった母里に、福島がしつこく酒を勧め、酒豪の母里が、大盃の酒を飲み干して、褒美として(強引に)拝領したと言われます。

母里が生涯仕えた、黒田家の家紋「黒田藤」と盃が、デザインされています。
黒田藤


番外編 49番「薬研籐四郎」

この紋、一体何をモチーフにしたんだろう?とずいぶん悩みました。
「なんか日立のマークにも似ているなぁ」などと、いろいろ考えた結果・・・わかりました。(ちなみに日立のマークは関係なさそうです。)

「薬研(やげん)」とは、漢方薬の材料を細かくすり潰す、硬い木や石でできた道具です。
大河ドラマ「軍師官兵衛」でも、寺尾聰さん扮する徳川家康が、使っていました。

「薬研(やげん)」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E7%A0%94
漢方薬荷居屋CMhttps://www.youtube.com/watch?v=H4PDZhVprIM(静岡では、もう40年以上おなじCM、流れています。)


この刀の所有者であった「畠山政長」が、戦でいよいよ最期と自害しようとした際、何度己の腹を突いても刺さらず、腹を立てて投げつけたところ、薬研の表裏を貫いて、突き刺さったと言います。

これにより、「籐四郎吉光の刀は、切れ味抜群であるが、主人の腹は切らない」という言い伝えとなりました。

この「薬研」をデザイン化したもののようです。

「薬研」の家紋は・・・ありません。
家紋のモチーフとしては、形といい用途といい、完全に「有り」だと思うんだけどなぁ。

それにしても、これらの紋をデザインした方々はすごいセンスだと思います。






先日娘に、「刀剣乱舞」の話をHPに書いたよ、と伝えたところ、

「見たよ。」
「ゲームよく知らないから、書くのに時間、かかっちゃったよ。」
「『刀剣乱舞』は携帯のゲームじゃないよ。」
「?」
「PCのゲーム」
「?」
「それに前半の茶番、いらないと思う。」
「そうかな・・・(・・・チャバンって・・・・)」



また茶番、書いてしまいました。ゴメン・・・。



43,花の家紋いろいろ

今まで梅や桜、橘や撫子など花の家紋の話は何度かしてまいりました。

家紋の素材の約半分は、植物を素材にしていると言われます。

葉や実を素材にした家紋も多いですが、花を素材にした家紋は、その華やかさからか人気があるようです。

菊や藤、桔梗や牡丹といった家紋は、比較的目にする機会が多く、このサイトでも何度か取り上げたことがありますが、花紋の素材となっている花は、20種類以上あります。

今回はその中でも、比較的マイナーといえる家紋について、書かせていただきます。

「いずれが菖蒲(アヤメ)か杜若(カキツバタ)」という言葉がありますが、これはどちらも美しく、区別するのが困難なことから来た言葉です。

家紋にあるのは「杜若」で、「菖蒲紋」はありません。

杜若(かきつばた)紋は、紋帳では25種類ほどが記載されてます。
梅紋の91種類、桜紋の64種類に比べると、やはり少ないと言えます。

「杜若紋」の歴史は古く、平安時代から公家の車紋に使用され、家紋に変遷しました。
立ち杜若


杜若紋には、花のみのものと、花と葉が組み合わされたものがあります。比較的多く見るのが、水の流れに杜若を配した「杜若に水」という家紋ですが、実際に使用されている家紋は、水や花や葉の形状に、いろいろな違いがあります。

抱き杜若
三つ追い杜若
杜若に水


「蘭(らん)」には、独特の形状の花が多くあり、古くから観賞用に珍重されていました。

紋帳には、15〜18種類の「蘭紋」が記載されていますが、新しいものが多く、実際に使用されている家は多くはないようです。

尚美的、吉祥的な意味で使われたものと思われます。

葉付き抱き蘭
抱き蘭の丸
三つ割り蘭


「山吹(やまぶき)」は、全国に分布し、春になると黄色い花を咲かせる、バラ科の植物です。

「橘諸兄」が万葉集で、山吹の詩歌を詠んでいることからも、古くから愛された花であることがわかります。

下村山吹
抱き山吹
山吹杏葉


「蓮(はす)」の文様は、無上無限の仏界の象徴として、仏教と密接な関係にあります。

植物としての「蓮」も、仏教とともに中国を経て、日本に伝来しました。

蓮花の文様は、仏具や仏画に広く使用されましたが、家紋としての使用はさほど多くはありません。

蓮の花
立ち蓮の花
蓮の丸


葛(くず)紋」は、紋帳に記載されているものが6種、その内、花の紋は4種です。

葛の根は、解熱剤としても有名ですし、花は、秋の七草の一つでもあります。

家紋として使用されたのは、江戸時代以降のようです。
葛の花


「椿(つばき)」は、我が国原産の常緑喬木で、「古事記」にも登場します。

呪力をもつ神聖な木で、悪霊を退治する力があると言われました。

花全体がポトリと落ちる様が、首が落ちることを連想させたため、家紋としては使用家が少ないのですが、椿油の産地である伊豆大島では、家紋としてよく使われているそうです。
椿の花


「葉菊草(はぎくそう)」は、海辺に生える一年草です。

「青山氏」の独占紋で、他に使用家はありません。

形が菊の花に似ているたその名が付いたそうです。
中輪に葉菊草


「菫(すみれ)」は「万葉集」にも登場する花で、春に紫色の可憐な花を咲かせます。

花の形が、「墨入れ」(墨壺)に似ていることから、その名がついたと言われます。

使用家は、非常に少ない家紋です。
抱き菫


「水仙(すいせん)」は、平安時代末に中国から伝来しました。

他の花に先駆けて新春に咲くので、瑞兆花といわれています。

ギリシャ神話には、「美少年の化身」として登場するそうです。

使用家は多くなく、明治以降に作られた家紋のようです。
抱き水仙


「朝顔」は、奈良時代に薬草として、遣唐使によって渡来しました。

家紋や紋章としては、あまり普及しませんでした。

これは、朝咲いて夕方萎むという、花の短命が理由だったようです。
丸に一つ朝顔


「夕顔」と言えば、「源氏物語」に登場する「「夕顔の君」が連想されます。

文様や家紋に使用されたのは、このイメージから風流な花とされたからかもしれません。

紋帳にはほとんど記載されていないことが多い家紋ですが、使用家は意外にあるようです。

ちなみに巻き寿司によく使う「かんぴょう」は、夕顔の実から作られます。
月輪に陰豆夕顔


「花紋」というのは少し違いますが、以前から気になっていた家紋に、「花勝見(はなかつみ)」というものがあります。

大変華やかな家紋なのですが、「花勝見」という花について、あまり聞いたことがありませんでした。

「花勝見(はなかつみ)」は万葉集をはじめ、古くから和歌などに詠まれた花です。

ところが、どの花のことを指しているのか諸説あり、平安時代から現代に至るまで、はっきりとしません。

郡山市では、ヒメシャガを花勝見として、市の花に指定していますが、家紋の世界では、「花勝見とは田字草(でんじそう)の異称」とされています。
花勝見

「田字草」は、湿地に自生するシダ科の植物で、四枚の葉が、漢字の「田」の字似ていることから、その名があります。

「片喰紋」と葉の形が同じことから、「四つ片喰(よつかたばみ)」といわれることもあります。

田字草の花の事を調べてみましたが、画像も見つからず、花に関する記載もないことから、目につくような花は咲かないと考えてよいようです。
田字草(1)

「田字草」という家紋には、大まかに言って、上の「四つ片喰」タイプと左のタイプの2種類があります。

左の「田字草(2)」は、一見花のようですが、田字草の葉を表していると考えた方が自然のようです。

つまり、「花勝見」という華やかな家紋は、実は「花紋」ではなく、水辺に浮かぶ地味目な水生植物ということになります。

田字草(2)


公家である四条家の独占紋である「花勝見」に、田字草が描かれている、このことから、伊勢貞丈は、「花勝見は花形藻(はながたも)の転訛である」と考え、「花勝見」は「田字草」と考えたようです。


この事だけで、万葉集にでてくる「花勝見」とは「田字草」のこと、とするわけにはいきませんが、家紋の名称が、古くからの疑問に、一つの解答を与えたのは、興味深いことです。


今回は、複数の花紋について書こうと欲張ったためか、ただサボりながら書いたためか、書くのにずいぶん時間がかかってしまいました。

書き始めたころは、トップの写真のように「彼岸花」が咲いていたのに、気が付けば富士山が冠雪していました。


富士宮口の富士山五合目付近は、よく歩くのですが、今回初めて、山梨県側の吉田口周辺を歩きに行きました。

紅葉まっ盛りでといった感じで、大変気持ちよく、途中でおにぎりを食べながら、2時間ほど散策しました。

富士山の頂上に登ったことは2回ありますが、最近は、なるべく平行移動で楽しめるルートを探しています。

やっぱり富士山は、いいなぁ。



42,「刀剣乱舞」

ずいぶん前の話になりますが、「会社のHPに書く話のネタがない・・・」とぼやいていたところ、娘が「『刀剣乱舞』というゲームに、家紋に似た紋がいろいろ出てくるよ。そんなのに絡めれば、ナウいヤングが喰いつくかも」と教えてくれました。(言い方は違ったと思います。)

「はて、トウケンランブとはいかなるゲームであるか?」と訊いたところ、「カンコレの男子版みたいなものだよ。」

私「誠に相済まぬが、カンコレがわからぬ。」

娘「『艦隊コレクション』、昔の戦艦が女の子になって、戦って、ダメージを受けるとだんだん服とかが、ボロボロになるの。」

私「???」

娘「だからトウラブは、刀がイケメンになって戦うの。」

私「???」

娘「ま、自分で調べてみなさい。」

私「・・・はい・・・」

娘「言っとくけど、私はトウラブやっていないからね。」

私「・・・さようか。」


という訳で、ウィキペディアで調べてみると・・・。ゲームの一種であることはわかりましたが、さてどのようなものなのか、全くイメージが掴めません。

「刀剣乱舞」公式ホームページhttp://www.dmm.com/netgame/feature/tohken.html


ゲームといえば、一番最初にWiiが発売されたときスターターパックを買って、家族で遊んだのが最後で、育成シュミレーションとか、カードゲーム(カードゲームというと息子がハマっていた「遊戯王」なら知っていますが、このゲームは実際の紙のカードではないようですし・・・)、とか、基本的な知識に欠けているようです。

まあ、ゲームの内容はよくわかりませんが、それぞれの刀(キャラクター?)が紋を持っているのはわかりました。

刀剣乱舞カード一覧http://wikiwiki.jp/toulove/?%A5%AB%A1%BC%A5%C9%B0%EC%CD%F7

「刀剣乱舞」紋一覧http://wikiwiki.jp/toulove/?%A5%AB%A1%BC%A5%C9%B0%EC%CD%F74


見てみると、そのまま家紋を使っているものもありますが、いろいろなアレンジが施されて、全く新しい家紋(風?)になっているものがほとんどです。

刀にはそれぞれ細かいキャラクターが設定されているようですが、そもそもの刀の歴史的背景が、紋には反映されているようです。

注:私は刀についての知識がほとんどないため、以下に書いてある刀についての話は、ネットでパパっと集めたものです。間違っている部分があるかもしれませんので、ササッとかるく読んでください。

3番「三日月宗近」の紋は、家紋の「月星」をアレンジしているようです。

刃紋の中に、雲に浮かび上がる三日月を思わせる模様が見られることから、その名が付いたそうです。
月星

25番「一期一振」は、「葵紋」と「太閤桐」の組み合わせでしょうか?

豊臣秀吉が所有した後、徳川家康に渡ったことから、この組み合わせが出来たのでしょう。

秀吉は、桐の紋が大変気に入っており、様々にアレンジした桐紋を使用しています。「太閤桐」もその一つと思われます。
太閤桐

41番「秋田藤四郎」は、「秋田扇」を分解して、組み合わせ直しているようです。

この刀は、「秋田扇」を家紋としていた秋田実季が所有していたものです。

秋田扇」の中の羽の文様は、鷹の羽ではなく、鷲の羽です。

家紋で鷲の羽が使われているのは、この「秋田扇」だけです。
秋田扇

73番「燭台切光忠」には、「仙台笹」の笹が使用されているようです。

この刀は、伊達政宗が所有しており、行いの悪い家臣の一人を一刀両断に切り捨てた際、その後ろにあった燭台も真っ二つになった、ということからその名が付いたそうです。

仙台笹は、伊達政宗の家紋です。
仙台笹

91番「和泉守兼定」の巴は、「子付き三つ巴」でしょうか?

「和泉守兼定」は、江戸時代末期の刀工で、土方歳三の刀として有名です。

土方歳三の家紋は一般的な「左三つ巴」で、「子付き三つ巴」は家紋帳に記載されているものの、使用家は大変少ない家紋です。
子付き三つ巴

95番「山姥切国広」の山は、「青木富士の山」にも似ています。

この刀と「青木富士の山」との関連は、よくわかりませんでした。

山つながりということで、考えられたのかもしれませんね。
青木富士の山

118番「へし切長谷部」は、「織田瓜」をアレンジしたもののようです。

織田信長が所有していた刀とのこと。

刀の紋は、外側の「瓜」の部分を、刀でスパッと切ったような、スピード感のあるデザインになっています。
織田瓜

138番「御手杵」は、「丸に違い杵」を力強くした感じです。

「御手杵」は刀ではなく、槍です。

槍身の長さが215cm、切っ先から石突まで380cmもあると言いますから、巨大な槍です。

参勤交代で、先頭の馬印用に使用する際に作られた鞘の形が「杵」であったことから、この名が付いたそうです。
丸に違い杵

家紋をそのまま使用している刀もあります。

101番「蜂須賀虎徹」は、名前のとおり「蜂須賀万字」が使用されています。

「蜂須賀万字」を家紋とする徳島藩主、蜂須賀家に伝来する刀だそうです。
蜂須賀万字

105番「長曽祢虎徹」には、「丸に三つ引」が使われています。

丸に三つ引」を家紋とする、新撰組局長「近藤勇」が所有していたとされています。

「虎徹」は最上大業物に数えられているほど、優れた切れ味と強度を持っていたそうですが、その為偽物も多く、近藤勇の刀も本物かどうか、諸説あるようです。
丸に三つ引

130番「鶴丸国永」は、「佐伯鶴の丸」が使用されています。

平安時代の作で、北条家から織田信長に、後に仙台伊達家に渡ったとされています。

鶴丸の名の由来は不明ですが、一説には失われた太刀拵に鶴の文様があったから、といわれています。
佐伯鶴の丸


今回は、家紋の解説はほとんどなく、刀の話がメインですので、間違えている部分がありそうです。

イイエ、きっとあります。スミマセン。


日本刀が、美術的価値はもちろん、工業製品として画期的な技術により作られており、刃物としては他に追随を許さないほど優れている、という話はよく聞きます。

私自身が実際に目にするのは、博物館などだけですが、代々引き継がれ磨かれてきた技術と情熱の結晶といえるものだけが持つ、その魅力は感じます。


ゲームやアニメは、日本のサブカルチャーとして世界に注目されています。

このゲームをきっかけに、日本刀が日本の魅力的な文化財の一つとして、国内だけでなく、海外の若い人たちが興味を持てくれれば、それもまたいいことだと思います。


41,「橘紋」の話

「源平藤橘(げんぺいとうきつ)」という言葉があります。

平安時代以降、政治の中心にいた「源氏」「平氏」「藤原氏」「橘氏」の四つの氏族のことです。

「橘氏」は他の三氏族に比べると、やや地味な感じもしますが、「橘諸兄(たちばなのもろえ)」「橘逸勢(たちばなのはやなり)」と聞くと、「あぁ・・」と思い浮かべる方もいるでしょう。

橘氏は、平安時代に「藤原氏」に政治的に抑えられた側面があり、その後あまり発展できなかったようです。

家紋でいえば、「橘紋」は、家紋の一大勢力です。

もともとは、「橘氏」が使用していた家紋で、その発生は、家紋の中でも最古に近いと言えるようです。

「橘」という姓は、女帝である「元明天皇(661年〜721年)」が、お気に入りの女官であった「県犬飼三千代あがたいぬかいみちよ」に、その美しさをたたえて、「橘姓」を贈ったのが始まりといわれています。

橘三千代はその後、橘諸兄や光明皇后を生み、橘氏、藤原氏の礎を築きます。

その後、橘氏は勢力を伸ばすことができず、橘紋も廃れていくかと思いきや、勢いのあった藤原氏の中で、橘紋の使用家がでてきます。

江戸時代後期のドラマには必ず登場し、今年の大河ドラマ「花燃ゆ」でも重要な役どころの「井伊直弼」も藤原氏の流れをくみます。

「井伊直弼」の家紋は、「彦根橘」または「井伊家橘」と呼ばれ、丸輪が付き、花の中の文様や枝の形に特徴があります。
井伊家橘

また、日蓮宗では「井桁に橘」(正確には平井筒に橘)を、宗紋としていますが、これは開祖の日蓮上人が、井伊家と同じく、藤原氏良門流であるため、といわれています。

橘は不老不死の国、「常世国(とこよのくに)」から伝えられた、永久の繁栄をもたらす「常世もの」と言われます。

「古事記」によると、第11代天皇である「垂仁天皇」が「田道間守(たじまもり)」に、常世の国にある世にも珍しい果実「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」を探すよう求めます。
日蓮宗宗紋
田道間守が出発して9年目に、垂仁天皇.は崩御してしまいます。
田道間守は苦労の末、ようやく珍果を持ち帰りますが、既に垂仁天皇は亡く、田道間守は天皇の後を追って死んでしまい、その果樹は、天皇の御陵に植えられたそうです。

「橘」の名前は、「田道間守(たじまもり)」にちなみ、「タジマ花」が変化したものだと言われています。
枝橘

「常世の国の木の実の樹」とされた「橘」は珍重され、「万葉集」にも多くの歌が詠まれています。

「橘諸兄」は元明天皇に、橘の浮いた盃を賜り、このことから橘氏は「橘紋」を使用するようになった、とも言われます。

実際は、当時はまだ、家紋というものは定着していませんでしたが、最も古い類の家紋の話ではあります。
薬師寺橘

「橘」が家紋として最初に観られるのは、1467年頃から1470年頃に編纂されたとみられる「見聞諸家紋」という、最古の家紋集です。

「見聞諸家紋」には、「橘紋」としては「小寺氏」と「薬師寺氏」の家紋が記載されています。

「小寺氏」といえば、昨年の大河ドラマ「軍師官兵衛」に登場した、片岡鶴太郎さんが演じた「小寺政織」の家です。
藤橘巴

現在発行されている、主だった家紋帳には、50種〜72種の「橘紋」が記載されています。

実際に使用されているものは、圧倒的に「丸に橘」が多いのですが、「不老不死」や「永遠の繁栄」を象徴する「橘紋」の人気が伺えます。

また、文様も華やかであるため、着物の柄などにも人気がありますね。

菊座橘
三本足橘
陰橘
台付き橘
菊座根橘
光琳橘
橘崩し
七枚葉橘
久世橘
抱き橘
入違い割り橘
向い橘菱
三つ橘
三つ竜胆橘
黒田橘
三つ割橘
三階菱橘
糸菱に覗き橘
花橘
杏葉橘
橘桐
橘胡蝶
橘鶴
橘揚羽蝶
三つ組み合橘
浮線橘
三つ葉裏橘
向う橘
八重向う橘
向う裏橘

「花燃ゆ」の視聴率が振るわないようです。

私は、毎回必ず観ているので、「頑張れぇ〜っ」と応援したくなります。

井上真央さんも、可愛らしいし演技力もあると思うのですが、残念です。

我が家に視聴率調査用の機器付いていれば、「花燃ゆ」の視聴率にも貢献できるのになぁ、とも思いますが、実際はいつも録画してから、ゆっくり観るので、それじゃやっぱり駄目ですね。

視聴率って、録画分も考慮されなければ、かわいそうだなって思います。



40,NHK大河ドラマ「花燃ゆ」


新年明けましておめでとうございます。

昨年は、サーバー移行や、ホームページ作成ソフト変更の為、(それ以上に私の怠惰の為)3本しか記事をかけませんでした。今年は、もう少し頑張ります(^_^;)

2015年のNHK大河ドラマは「花燃ゆ」です。

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」公式ホームページ http://www.nhk.or.jp/hanamoyu/

幕末から明治維新にかけての激動の時代、吉田松陰とその家族、門弟たちの生きざまを、松陰の妹「杉 文」を中心に描いていきます。

「龍馬伝」の時にも書いたのですが、大河ドラマが幕末ものの場合、登場人物がかぶるので、家紋の話がしにくい・・・という傾向があります。

今回の「花燃ゆ」でも、有名どころの登場人物はひととおり出てくるのでしょうが、「花燃ゆ」の公式ホームページで登場人物を確認すると、松下村塾の塾生や、長州藩の幕臣などがメインとなっています。

これなら、いいネタになるかも・・・と思ったのですが・・・。


私の手持ちの資料や、ネット検索ではわからない人も多い・・・。(+_+)わからない人については、オイオイ…ということでお願いします。
五瓜に五つ割万字


まず、家紋について頭を悩ませたのは、長州藩の重臣で、吉田松陰に厳しく当たる「椋梨 藤太(むくなし とうた)」。

ドラマでは「内藤剛志さん」が演じています。

もちろん実在の人物ですが、自分で調べてみても分からず・・・。

こうなったら、ドラマの中でつけている家紋を確認するしかないっっと、目を皿にして観ていたところ、ちゃんと紋付きで登場してくださいました。

んんんっ?六つ銀杏?でもちょっと違うような・・・。

「家紋の話あれこれ2014年」の「39、家紋で紅葉狩りA」
で書かせていただきましたように、銀杏紋にはバリエーション
が多く、「六つ銀杏」も紋帳に記載されています。

「椋梨藤太」の家紋は、アウトラインが3×6の膨らみで、
葉脈が一本太いのがあるだけのように見えます。
そこで、いろいろな紋帳を片っ端から探してみたました。
六つ銀杏

紋帳の多くは、家紋を素材ごとに分類して,「いろは」もしくは「あいうえお」順に並べてあります。

索引では、「植物紋」「器物紋」という風にも探せるようにはなっていますが、形だけを参考に、何の家紋か探すには、端から一つ一つ、目で見て確認していくしかありません。

「唐花紋」の分類に近いものがありました。
「変り唐花」という家紋です。
変り唐花

「変り唐花」はあまり見かけない家紋です。
一目見て、唐花紋とは見えないかもしれません。

少し似た形の「離れ唐花」と言う家紋は、「変り唐花」にj比べ、使用家は多いようです。


しかし、「椋梨 藤太」がつけている家紋は、変り唐花の花弁が六葉になったものに見えます。
離れ唐花

「椋梨 藤太」は長州藩の重臣であるので、資料は残っているものと思われます。

ですからドラマで身につけている家紋は、間違えではないと思いますが、右の家紋は、ドラマで垣間見えた家紋を、私なりに再現したもので、実際にドラマで使用している家紋と同じとは限りません。

「様々な家紋(家紋一覧)の「NHK大河ドラマ『花燃ゆ』登場人物の家紋」にも入れましたが、「?」付きということでお願いします。
変り六つ唐花?


椋梨藤太は、吉田松陰ら改革派を弾圧したり、権力争いの中心人物といったイメージが強いのですが、実際はしごく真面目な保守派だったようです。

演ずる内藤剛志さんは、インタビューで「でも椋梨が悪者じゃないと、ドラマが面白くない」から、「演出家と相談して」、わざと悪そうな、「トリッキーな要素を取り入れた芝居をしている」そうです。


「花燃ゆ」の重要な登場人物で、今一人家紋がはっきりしない人物がいます。

東出昌大さん演じる「久坂 玄瑞」ですが、こちらは家紋に諸説あって、「どれにしようかな、NHKのいうとおりっ」ってことで画面に登場待ちです。



様々な家紋(家紋一覧)に、『大河ドラマ「花燃ゆ」 登場人物の家紋』を追加しました。



参考文献  泡坂妻夫著「家紋の話〜上絵師が語る紋章の美」新潮社、丸山浩一著「家紋由来帳」日栄出版、本田總一郎監修「新集家紋大全」梧桐書院、千鹿野茂著「日本家紋総鑑」角川書店、丹羽基二著「家紋と家系事典」講談社、加藤秀幸解説「別冊歴史読本 日本の家紋6000」新人物往来社、大隈三好著「家紋辞典」金園社、澤等監修「イラスト図解 家紋」日東書院 他(順不同、敬称略)


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赦ください。